2024年09月26日

新手の詐欺は後を絶たず、御用心を
因縁つけ免許証撮影、クレカ不正取得に悪用

コラム12
「浜の真砂子は尽くるとも世に詐欺師の種は尽くまじ」。石川五右衛門の辞世の句をもじればこういうことになろうか。本当に詐欺師は悪賢い。

運転免許証、写真に撮られる

高速道路で「お前の車が跳ね飛ばした小石で車体に傷がついた」と他の車に難癖をつけ、運転手の免許証をスマホで撮影、免許証を偽造して本人確認に使い、金融機関やクレジットカード会社をだますという詐欺が行われているらしい。

高速道路で高級車に追尾され、サービスエリアで複数の男(女もいたらしい)に激しい剣幕で言いつのられたら、その場逃れで、つい免許証くらいなら、見せてしまうかもしれない。一瞬の隙に写真を撮られても、仕方がないと納得してしまうかもしれない。しかし、その写真を基に顔写真や住所を変えて偽造し、画像認識でのオンライン契約を使ってまんまと金品をだまし取ったというのである。

教訓としては、どんなに難癖をつけられても運転免許証を見せるな、ということだが、いくらなんでも教訓としては寂しい。現在のオンラインでの画像確認は技術的に無理があるということだが、マイナンバーカードのICチップに内蔵された電子証明書を読み取る「公的個人認証」を民間サービスにも活用する、などすでにあるインフラの民間開放が必要だと意見が出ている。

サポート詐欺の罠も

話は別になるが、最近の深刻な詐欺に「サポート詐欺」がある。これも巧妙だ。

インターネットにつないでパソコンを使っていると、突然、激しい警告音とともに、パソコンがロックされる。「サイバー攻撃を受けました」とけばけばしい警告画面が表示されて、キーボード、マウス、どの操作も無効になる。某米国の大手ソフト会社がこの攻撃を検知しているので、この状況を解除するには電話で次のところに連絡せよ、とサポートの窓口を案内される。某ソフト会社の日本法人の社員証が画像表示されるので、信用して電話をする。

社員証は女性だったが、電話に出て来たのは、日本語が少し変だが、外資系ソフト会社ならこの程度かと、とにかく、こちらはロックされたパソコンを使えるようにしたいので、疑問は頭から振り払って前へ進む。

高額プリペードカード購入

「ロックを解除するにはセキュリティソフトが必要ですぐに契約してほしい」という。「支払いはクレジットカードか、IT企業発行のプリペードカードのどちらかが選べる」。もちろん、クレジットカードでいろいろな情報を入力するのは危険なのでプリペードカードを選ぶ。すぐに近くのコンビニでプリペードカードを購入して来いと言われ、コンビニに駆け付けて10万円のカードを購入して戻り、カード番号を入力する。

すると「あなたが番号の入力を間違えたので無効になった。無効になった手続きをカバーして再入力するには2倍の20万円が必要なので、20万円のカードを」と言われた。

ここまで読んで気がつかれた方が多いと思われるが、これは2年ほど前に筆者が詐欺にあった経験実話である。そのころにはこういう被害の報告がなく、疑う余地がなかった。情けない。
しかし、再びコンビニに駆け付けると、店員が不審に思い、店長を呼ぶ。店長は詐欺かも知れないので、警察に連絡した方が良い、と交番に行くように勧められた。

交番には、すぐに所轄の警察署のサイバー担当者が駆け付けた。一緒に我が家に行き、まだつながったままのパソコンの前に。警察官はカメラの前に仁王立ちし、「ポリス」と叫ぶと、接続は一気に切れた。警察は、被害を食い止めた、ということでこれ以上の対応はなかった。こちらの証言通りに経緯を記録したことで終わった。

生成AI利用でさらに多様化懸念

被害にあった10万円は、某ソフト会社やプリペード会社に連絡したが、応対は丁寧でも、結論的に企業側では補償できない、と申し訳なそうな回答だった。

最近は「サポート詐欺」として警告が広がっているのでこの手法は収束するのではないかと思うが、これまで想像もつかなかった詐欺が次々に発案されてくる。著名人の偽映像を使った投資誘導詐欺などの生成AIを使ったものも出てきたが、これらはほんの序の口。情報技術の進歩とともに、詐欺の手口もさらに巧妙化し、プロだと自負している専門家も罠にはめられる危険がなきにしもあらず。

自分の反省も込めて、御用心、御用心。

中島洋の「セキュリティの新常識」コラムは、こちら

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