2025年06月18日
松井証券株式会社-ZENMU Virtual Drive 導入事例-
VDI環境と同等のデータ保護と高いユーザビリティを
セキュアFATで実現
ネット証券のパイオニアである松井証券は、システム開発の協力会社に向けた端末をVDIベースのシンクライアント環境から「ZENMU Virtual Drive」を使ったセキュアFATクライアントへと切り替えた。これにより、情報漏えい対策のセキュリティレベルを確保しながら、端末の高い性能とユーザビリティの向上の実現に成功した。結果として、ライセンス料が高騰しつつあるVDIに代わる有望な選択肢も手にしている。
導入前の課題
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導入後の効果
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ZENMUの選定理由
- 端末の紛失・盗難時も意味あるデータが抜き取られる心配のない情報漏えい対策としての確実性
- FATクライアントの性能やユーザビリティに負の影響を与えずに情報漏えい対策が大幅に強化できる革新性
導入の背景
システムの高いユーザビリティと
セキュリティの両立を目指して
日本株や先物オプション、FX、米国株など、多彩な金融商品・サービスを個人投資家向けに提供し、ビジネスを堅調に拡大させているインターネット専業の証券会社、松井証券。同社では現在、「お客様の豊かな人生をサポートする。」というミッションを掲げ、コールセンターなどのサポート体制の充実やセキュリティの強化にも精力的に取り組んでいる。そうした同社にあって、社内システムの企画・開発・運用を担っているのがIT推進部だ。同部の基本方針について部長の小室 理氏は「システムのユーザビリティとセキュリティとをバランス良く保ち、業務の生産性向上と安全・安心を両立させることを重視しています」と説明する。
この方針のもと、同社では2019年にVDIを導入し、社用の全端末をFATクライアントからシンクライアントへと切り替えた。ただ、そのVDI環境は性能面での問題を抱えていたという。その状況をIT推進部 副部長の魚谷 哲史氏はこう振り返る。
「多数の端末のデスクトップ環境をサーバに集中させるVDI環境は、一部の利用者が重たい処理を端末で実行していると、他の全ての利用者のデスクトップ性能に負の影響が出るという問題があります。当社のVDI環境も、ビジネス成長に伴う人員の増大(=VDI利用者数の増大)を背景に、そうした性能問題が頻繁に起こるようになり、ネットワークやストレージ負荷による動作遅延の課題が顕在化してきていました」
こうした問題を解決すべく同社は2023年にVDI環境を刷新し、それと併せて社用端末のおよそ半数をFATクライアントに戻す決断を下した。その施策の中で、同社が採用したのが「ZENMU Virtual Drive」である。

松井証券株式会社
IT推進部 部長
小室 理氏
導入の決め手
ユーザビリティの確保と
情報漏えい防止の確実性を評価
今回、同社がFATクライアントへの移行を決めたのは、システム関連業務を委託している協力会社のスタッフが使用する端末だ。協力会社のスタッフが使用する200台の端末にZENMU Virtual Driveを導入している。その経緯について、魚谷氏は以下のような説明を加える。
協力会社のスタッフはリモートワークが可能なほか、協力会社が仕事を外部に再委託することもあり、その中でスタッフ全員のセキュリティ意識を当社が求める高い水準に保つことには難しさがあります。そこでFATクライアントの性能やユーザビリティを維持しながら、その情報漏えい対策の強度をシンクライアントと同レベルに引き上げなければならないと考えました。そのためのソリューションとして導入したのがZENMU Virtual Driveです」
端末からの情報漏えい抑止する仕組みは、ZENMU Virtual Drive以外にもある。その中で本製品を選んだ決め手について魚谷氏は「秘密分散によって端末に『意味あるデータ(=情報)』を残さないZENMU Virtual Driveの仕組みは、端末からの情報漏えいを防ぐうえで確実性の高いソリューションです。この仕組みとBitLockerを組み合わせれば、今回比較検討したあらゆるソリューションを上回る堅牢なセキュアFAT環境が実現できると判断しました」と説明する。
また、小室氏はZENMU Virtual Driveを採用した理由について「協力会社のスタッフは、重たい処理を端末で行うことが多く、また、スタッフの入れ替わりも頻繁です。ゆえに、情報漏えい対策には端末の性能、ユーザビリティに負の影響を与えないことや、誰でもすぐに使い始められる、扱いや設定の簡単さ、分かりやすさが必要でした。ZENMU Virtual Driveは、それらの要件も満たしていました」と述べる。

松井証券株式会社
IT推進部 副部長
魚谷 哲史氏
導入の効果
VDI環境と同等の
ユーザーデータ保護を実現
同社は2024年4月に200台の端末へのZENMU Virtual Driveの導入を済ませ、運用を始動させた。また、端末のユーザーデータのDR(災害時復旧)施策として、ZENMU Virtual Driveで分割したデータの分散片をクラウドと社内のサーバに分散保存させている。
同社のIT推進部プロフェッショナルで、インフラの運用を担当する樋口 昭博氏は「ZENMU Virtual Driveの導入は何の問題もなく速やかに行われ、DRの仕組みづくりも柔軟に行えました。しかも、各所に保存される分散片は、それぞれが無意味化されたデータです。ゆえに、VDIのサーバ環境のようにユーザーデータの保護に細心の注意を払い、手間をかける必要もありませんでした」と評価する。加えて同氏によれば、ZENMU Virtual Driveを使ったセキュアFATを含むFATクライアントの採用により、物理的なVDIサーバの台数を大幅(30%)に減らせたという。
また、小室氏は「ZENMU Virtual Driveは非常に安定していて運用から1年以上の間、障害を一度も引き起こしていません。そのため、FATクライアントのユーザビリティが安定して確保され、協力会社のスタッフの生産性はシンクライアントを使っていた当時よりも高められたと見ています。また、万が一、端末の紛失・盗難が起きたとしても、そこには無意味化されたデータしかないので『情報セキュリティインシデント』として扱わずに済むという非常に大きな効果がもたらされる期待もあります」
こうした効果を踏まえながら、魚谷氏は、ZENMU Virtual Driveの導入の効果と意義をこうまとめる。
「最近になって、VDI製品のライセンス料が大幅に上昇し始め、将来的な使用の継続に迷いが生じています。そんな中で、ZENMU Virtual Driveを使ったセキュアFATクライアントの実効性が確認できた意義は大きく、その適用の幅を広げることも視野に入れています」

松井証券株式会社
IT推進部 プロフェッショナル
樋口 昭博氏
松井証券様のセキュアFATクライアント環境の構成図
会社プロフィール
会社 | 松井証券株式会社![]() |
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HP | https://www.matsui.co.jp/ |
本社住所 | 東京都千代田区麹町一丁目4番地 |
代表者 | 代表取締役社長 和里田 聰 |
従業員数 | 203人(正社員数/2024年3月31日現在) |
業務内容 | 金融商品取引法に基づく金融商品取引業[登録番号 関東財務局長(金商)第164号] |